仕事の合間に、ほんの数分だけ遊べるゲームが欲しいと思った。
私は普段、生成AIに指示を送り、返答を待ちながら仕事を進めている。数十秒から数分の待ち時間が何度も発生するため、その間に軽く遊べるゲームがあれば、気持ちを切り替えられるのではないかと考えた。
ところが、実際に探してみると、これが意外なほど難しい。短時間で遊べれば何でもいいわけではない。放置しすぎても退屈だし、考えることが多すぎても仕事へ戻れない。
いくつかのゲームを試すうちに、自分がゲームに何を求めているのかが、少しずつ見えてきた。
放置ゲームは気軽でも「遊んだ感」が足りない
最初に使っていたのは、『Cell to Singularity』のように、少しずつ数字が増え、進化や成長を眺めるタイプのゲームだった。
確かに気軽ではある。短い待ち時間にも触れられるし、途中でやめても困らない。ただ、数分だけ起動したときの満足感が弱かった。
進捗はしている。数字も増えている。それでも「今、遊んだ」という手応えが薄い。
そこで、魚を育てる『Chillquarium』の体験版も試した。海や魚は好きなので、題材としてはかなり魅力的だった。しかし、短い待ち時間にできることは餌やりくらいで、操作も単調だった。
魚が泳ぐ水槽は眺めていて心地よい。それでも、何度か触るうちに飽きが来た。
ここで分かったのは、私が欲しかったのは「何もしなくていいゲーム」ではなかったということだ。
数分でも、ちゃんと集中したい
本当に欲しかったのは、二、三分だけでも集中できて、ひと区切りが明確にあるゲームだった。
短い勝負を一回だけ。勝っても負けても、そこで終わり。生成AIから返答が来たら、未練なく仕事へ戻れる。
この条件なら、放置ゲームよりもCPU戦や短いアクションの方が近い。昔から遊んでいた『鉄拳』も候補に浮かんだ。
ただし、私の場合はアーケードスティックを使いたい。普段は机に常設していないため、遊ぶたびに出して接続し、終わったら片づける必要がある。
数分遊ぶために環境を整えるのでは、本末転倒だ。
ゲームそのものが面白いだけでは足りない。起動までの摩擦が小さく、すぐ始められて、すぐ終われることも重要なのだと気づいた。
遊ぶだけがゲームの役割ではない
『Chill with You』は、少し違う形で自分に合っていた。
画面の中で大きな冒険をするのではなく、作業中の風景や音楽として起動する。ポモドーロタイマーは表示されているが、その区切りに自分の仕事を無理に合わせない。生成AIの返答待ちを自然な休憩にして、集中が続く間はそのまま作業する。
ゲームを攻略するというより、仕事を始めるための小さな儀式に近い。
ゲームは必ずしも、強い刺激や長い物語を与えてくれる必要はない。生活の中にどう置けるかという相性もあるのだと思う。
評判の良い物語でも、テーマが合わないことがある
次に、『Detroit: Become Human』を少し試した。
選択によって展開が変わる物語なら、長く楽しめるかもしれないと思った。しかし、操作性がしっくりこなかった。さらに、殺人事件や捜査を中心とした重い空気にも、あまり惹かれなかった。
私はテレビでも、殺人事件を扱う二時間ドラマをほとんど見ない。ゲームになれば楽しめるかと思ったが、題材への好みは簡単には変わらないらしい。
操作は慣れで改善するかもしれない。しかし、作品の世界やテーマが合わない場合、無理に続けても「早く先を見たい」という気持ちは生まれにくい。
多くの人が高く評価している作品でも、自分に合うとは限らない。
ゲーム選びでは評判の良さ以上に、自分がその世界に長く滞在したいと思えるかどうかが大切なのだと思う。
長く遊ぶゲームには、自分で終点を作る
一方で、『ファイナルファンタジーXI』のような、長期的に積み上げられるオンラインRPGには今も惹かれている。
少しずつレベルが上がり、装備や物語が積み重なっていく。昨日の続きが今日につながる感覚は、自分の好みに近い。
ただし、月額課金のゲームは、何となく続けると終わりが見えなくなる。楽しいから続けることと、惰性で払い続けることは違う。
そこで、始める前に「どこまで進めたら一区切りとするか」を決めておくことにした。
すべてのジョブを育てる。最高装備を集める。あらゆるコンテンツを制覇する。そうした終わりのない目標は置かない。物語の大きな区切りを、自分なりのクリア条件にする。
ゲームは自由に遊ぶものだが、自由すぎるからこそ、自分で終点を作る必要がある場合もある。
合わないゲームを試す時間も無駄ではない
今回、いくつかのゲームを触ってみて、自分の好みがかなりはっきりした。
数字を眺めるだけでは物足りない。経営や資源管理が強いと、ゲームでも仕事をしているようで疲れてしまう。物語が重すぎても気分が沈む。対人戦の緊張も、今はあまり求めていない。
欲しいのは、短時間でも操作する楽しさがあり、進めた分がきちんと積み上がり、必要ならすぐ手を止められるゲームだ。
こうして言葉にすると、ずいぶん条件が多い。なかなか見つからないのも当然かもしれない。
それでも、合わないゲームを試した時間は無駄ではなかった。
「何が嫌だったのか」を考えるたびに、自分が本当に楽しいと感じるものの輪郭がはっきりしてきたからだ。
ゲームを選ぶことは、単なる暇つぶしを選ぶことではない。
限られた時間と体力を、どんな感覚の中で過ごしたいのかを選ぶことでもある。
自分に合う一本がすぐに見つからなくても、焦る必要はない。合わなかった理由を一つずつ拾っていけば、それもまた、自分に合う遊び方へ近づくための大切な手がかりになる。