疲れている日に、気軽に遊べるゲームを探すことがある。
激しい操作はしたくない。難しいことも考えたくない。できれば短時間で区切れて、いつでもやめられるものがいい。
そう考えて、自分が持っているゲームや、新しく発売されている作品をいくつか見直してみた。
ところが、「簡単そう」「短時間で遊べそう」という条件だけでは、なかなか自分に合うものが見つからなかった。
以前遊んだ作品は、途中で飽きてしまっている。
音楽ゲームも、何度も遊んで新鮮さが薄れている。
部屋を整理するような静かなゲームは、ゲーム性が自分には合わない。
クリア済みの物語ゲームには追加要素が残っているが、ストーリーを忘れてしまい、最初からやり直す必要がありそうだった。
気軽に遊べるはずなのに、どれも起動する気になれない。
そこで気づいたのは、私が探していたのは単に「簡単なゲーム」ではなかったということだった。
「気軽に遊べる」は、人によって意味が違う
操作が簡単でも、同じ作業を繰り返すだけなら飽きてしまう。
プレイ時間が短くても、物語へ集中する必要があれば、疲れている日には重く感じる。
放置できるゲームでも、進める目的が見えなければ、起動する理由を感じにくい。
反対に、多少やることがあっても、自分が慣れている世界なら負担は少ない。終了条件を自分で決められるなら、長いゲームでも気軽に遊べる。
つまり「気軽さ」は、ゲームの難易度やジャンルだけでは決まらない。
その日の自分が、ゲームに何を求めているかによって変わるのだと思う。
刺激が欲しいのか。
静かに過ごしたいのか。
現実の作業を始めるきっかけが欲しいのか。
慣れ親しんだ世界へ戻りたいのか。
目的が違えば、合うゲームも変わる。
『Chill with You』は、遊ぶ場所ではなく作業を始める場所
気になって体験版をダウンロードしたのが、『Chill with You : Lo-Fi Story』だった。
画面の向こうにいるキャラクターと一緒に、音楽を聴きながらタイマーを使い、自分の作業を進める作品だ。
一般的なゲームのように敵を倒したり、ステージを攻略したりするわけではない。
最初は、ゲームとして物足りないかもしれないと思った。
けれど、実際に触ってみると印象は悪くなかった。
この作品の価値は、ゲームそのものを遊ぶことよりも、作業へ入るまでの心理的な負担を小さくすることにあるように感じた。
疲れているときは、パソコンの前に座っていても、何から手をつければよいか分からないことがある。
作業を始めれば進められるのに、最初の一歩が重い。
そんなときに『Chill with You』を起動し、タイマーを設定する。
すると、「仕事を始めなければならない」という感覚が、「少しの間、一緒に作業してみよう」という感覚へ変わるかもしれない。
ゲームを楽しんだ結果として現実の作業が遅れるのではなく、現実の作業をすることがゲームの時間になる。
これは、これまで考えていたゲームの役割とは少し違っていた。
FF11は、進めなくても滞在できる世界だった
もう一つ思い出したのが、FF11だった。
長く続いているオンラインゲームなので、本格的に遊ぼうとすれば、ストーリー、装備集め、育成など、やることはいくらでもある。
そのため、気軽に遊ぶゲームとは反対に見えるかもしれない。
しかし、必ずしも何かを大きく進める必要はない。
少しだけレベルを上げる。
街で装備や所持品を整理する。
近くのフィールドを歩く。
音楽を聴きながら、慣れた場所で過ごす。
それだけでも、ヴァナ・ディールへ戻ってきた感覚を得られる。
新しいシステムを一から覚える必要もない。遊び方も世界の雰囲気も知っているため、ログインした直後から自然に過ごせる。
FF11は、毎回何かを達成しなければならないゲームではなく、少しだけ滞在して帰ることもできる世界なのだと思った。
「今日は30分だけ」「レベルを少し上げたら終わり」と決めれば、やめ時も作りやすい。
長いゲームであることと、短く遊べないことは同じではなかった。
ゲームを一つの目的だけで選ばなくていい
これまで私は、ゲームを選ぶとき、面白さや実績、クリアまでの時間を中心に考えることが多かった。
しかし、疲れている日に必要なのは、必ずしも新しい刺激や達成感ではない。
現実の作業へ入るための助走が欲しい日もある。
慣れた世界で静かに過ごしたい日もある。
短時間だけ操作して、気分を切り替えたい日もある。
ゲームには、それぞれ違う役割があってよいのだと思う。
『Chill with You』は、現実の作業を始めるための伴走者。
FF11は、何かを達成しなくても戻れる場所。
どちらも、短時間でクリアするためのゲームではない。けれど、今の自分が求めている「気軽さ」には近かった。
ゲームを探すときに、ジャンルや評価だけを見るのではなく、
今日の自分は、ゲームに何をしてもらいたいのか
と考えてみる。
その問いがあれば、これまで候補にならなかった作品が、急に今の自分に合うものとして見えてくることがある。
疲れている日に無理に大きな冒険へ出る必要はない。
誰かと一緒に少しだけ作業をする。
懐かしい街へ戻り、静かに歩く。
そんな時間も、十分にゲームを楽しんだ時間なのだと思う。