調子が良い夜に、眠るタイミングを逃した

人生と仕事

その朝は、夜の10時半から朝の6時まで眠れていた。足りない一日の始まり、ではなかった。

崩れたのは、その次の夜のほうだ。

店を出たのは22時45分だった。翌日は引っ越しのバイトがあるので、本当はその夜を早く終えたかった。厨房の締めは早く終わっていた。ホールを手伝って、時刻だけが伸びた。早く帰りたい、は、店を出る前にすでに半分外れていた。帰った時点で、翌日のための夜は、もう短くなっていた。

開発が動いた夜だった

夜、画面に向かって作業している後ろ姿。画面の文字は読めない。

帰ってからは、軽く食事をして、旅行のメールを返して、開発の作業をした。

ここ数日、開発はあまりできていなかった。バイトとバイトのあいだに、自分の作業が入らない日が続いていた。その夜は入った。できた、というだけで「良い」と感じた。止まっていたものが、少し動いた感覚がある。大きな完成があった、とまでは自分でも言っていない。動いた、で十分だった。

どこで「もう寝よう」が消えたのかは、自分でも切れていない。開発が一段落した時刻も、ゲームを切り上げようと思った時刻も、覚えていない。良い、が続いているあいだに、時計のほうだけが進んでいた。

そこから先が、眠るタイミングを逃した。

開発の調子が良かった。遊んでいた『ELDEN RING NIGHTREIGN』の調子も良かった。良いほうが続いているあいだに、寝る時刻が後ろへずれた。眠くなかった、とは自分でも言っていない。タイミングを逃した、と言葉にした。入れたかった場所を、通り過ぎた、に近い。

以前、同じように朝まで起きていた夜を、「眠らない選択をした」と書いたことがある。やりたいことが残っていて、自分の時間を取り戻すほうへ寄せた夜だった。今回の明け方の言葉は、逃した、だった。良い感覚が先に走って、眠りの入口を通り過ぎていた。気づけば、まだ起きていた。

別の明け方には、引っ越しのバイトの前に眠れない、と書いたこともある。あのときは、夜型が板についてしまっている、と自分で名前を付けていた。原因の置き場所が、生活の型のほうだった。今回は、夜型のせいだとは自分で言っていない。調子が良い、のほうを原因にしている。同じ「翌日は引っ越し」でも、起きていた理由が違う。前は、眠れないことが先にあった。今回は、良いことが先にあって、眠りが後ろへずれた。

家事のために、もう一本あった

明け方の台所。ラベルのない缶と、残った洗い物。

日付が変わって4時を過ぎたところに、まだ家事が残っていた。

調子が良かったのは、開発とゲームのほうだ。残っていたのは、家事のほうだ。その家事をやるために、モンスターを開けた。その1本は、良い時間のあとにはみ出した用事を片付けるためのものだった。

起きていた理由と、缶を開けた理由は、同じではなかった。

調子が良いから起きていた。起きていた理由は、家事ではない。缶を開けた理由は、家事のほうだ。良い時間が眠りを後ろへ押し、押し出した先に、家の用事が残っていた。その残りを動かすために、さらに目を覚ましている。

この日、缶はそれだけではなかった。昼に一度。バイトの前に一度。こちらは全部は飲んでいない。帰宅後に一度。そして明け方に、家事のための一度。数としては多い。ただしこの夜、本数のことは気にしていない。気にしていたのは、家事が残っているから入れた、という一点だけだ。規則を思い出して止めた覚えもない。

缶に、深夜を延ばす役、朝を起動する役、昼に戻る役を背負わせていた時期の話は、前に書いている。今回の明け方の1本は、その三つにそのままは当てはまらない。延ばしたあとの、後片付けに近かった。

翌日の身体は、まだ分からない

朝の空き部屋。窓の光と、椅子にかけた上着。

ここから何時間眠れたのかは、この時点ではまだ分からない。引っ越しの現場で身体がどうだったかも、まだ先の話だ。4時の時点で、「寝ないと辛い」とまでは自分で言っていない。辛い、を予測する前に、家事のほうへ缶を使っている。

分かっているのは、順番だけだ。

早く終わりたかった夜だった。帰ってからの開発は、できて良かった。ゲームも調子が良かった。その良さの途中で、眠る時刻を通り過ぎた。残った家事のために、もう一本開けた。翌日のバイトは、その先にすでにあった。

良かったことと、逃したことが、同じ夜に並んでいる。どちらかへ片付ける言葉は、明け方にはまだなかった。良かった夜だった、とも、失敗した夜だった、とも、その時刻の自分は呼んでいない。

次に同じ並びが来たとき、調子が良い途中で一度時計を見るのか。家事を、良い時間の前に片付けるのか。そこも、この明け方には決めていない。決める前に、缶を開けて、残りの家事のほうへ手を動かしていた。

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「しゃとん’s EYE」を書いています。Web制作の仕事をしながら、生活の途中で感じたことと、ELDEN RING NIGHTREIGNのソロ攻略を記録しています。海と、深夜に考えごとをする時間が好きです。

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