稼げそうでも続かない。価値観に合うプロジェクトを選び直した日
しばらく進めていた占い関連のプロジェクトを凍結した。
戦略を考え、AIを使って構想を整理し、実際に制作物も作っていた。高単価の商品に育つ可能性もあり、収益化の道筋がまったく見えない企画ではなかった。
それでも止めることにした。
理由は、能力が足りなかったからでも、作業が嫌になったからでもない。自分の価値観と、プロジェクトが向かう方向に、どうしても埋められないズレがあったからだ。
作業できることと、続けたいことは違う
不思議なことに、進めている間は強い苦痛を感じていなかった。
AIと壁打ちをしながら戦略を考えるのは面白かったし、サービスの仕組みを作ることにも集中できた。やる気が出ないわけでもなく、手が止まることもなかった。
だからこそ、判断が遅れたのだと思う。
人は、違和感があっても作業できてしまう。
作れる。考えられる。形にもできる。
でも、それは必ずしも「この方向へ進みたい」という意味ではない。
できることと、信じて続けられることは別だった。
人の不安に近い場所で稼ぐこと
今回のプロジェクトを止めた大きな理由の一つは、扱うテーマが人の不安に近かったことだ。
占いそのものを否定したいわけではない。迷っているときに、気持ちを整理する言葉として役立つこともあると思う。
ただし、人の不安を扱う仕事には慎重さが必要だ。
良いサービスは、不安を整理し、利用者が自分で決められる状態へ戻していく。
一方で、危ういサービスは、不安を完全には終わらせない。
「まだ問題があります」
「もっと詳しく調べる必要があります」
「継続しないと悪い状態に戻ります」
そうやって、不安が次の購入や相談へつながっていく。
自分が心から信じていない領域で、その仕組みを支える側に回ることには抵抗があった。
直接鑑定をするわけではない。道具や仕組みを提供するだけだ。そう考えれば進められる気もした。
けれど、最終的には同じ市場を広げる側に立つことになる。
その事実を、これ以上見ないふりはできなかった。
凍結を決めたら、気持ちが静かになった
プロジェクトを止めると決めたあと、意外にも後悔より先に落ち着きが来た。
時間を使ってしまった。
制作物も作った。
収益化の可能性も捨てることになる。
普通なら、もっと惜しく感じてもよさそうだった。
それでも、「もうこの方向を無理に考えなくていい」と思ったとき、頭の中が少し静かになった。
その感覚が、答えだったのだと思う。
活動中には気づきにくかったが、心の奥ではずっと問い続けていた。
本当にこの領域を広げたいのか。
この仕事で得るお金を、気持ちよく受け取れるのか。
収益になるからという理由で、自分の感覚を押し込めていないか。
凍結によって、その未完了の問いにようやく区切りがついた。
AIは答えを出す道具ではなく、自分を映す鏡だった
今回、AIをかなり使った。
市場を調べ、商品構成を考え、サービス設計を整理し、優先順位を比較した。
その過程で分かったのは、AIは何でも正解にしてくれる道具ではないということだ。
可能性を広げることはできる。
売り方を考えることもできる。
実行計画を作ることもできる。
しかし、「自分は本当にそれをやりたいのか」という問いだけは、最後には自分で答えるしかない。
むしろAIで深く考えたからこそ、収益性の奥にある違和感がはっきりした。
作戦が足りないのではない。
価値観が合っていない。
そこが見えたことは、制作物以上に大きな収穫だった。
自分の生活とつながるプロジェクトへ
占い関連の企画を凍結した一方で、最近伸びている別のサイトがある。
サーフィンの波やポイント選びを支援する情報サイトだ。
こちらは、自分自身が利用者でもある。
今日の波は入る価値があるのか。
数値は良いのに、なぜ実際の海では波が割れないのか。
いつもの場所がダメなら、どこへ移動すればよいのか。
普段の生活の中で感じている不便が、そのまま改善案になる。
この違いは大きい。
前者は、他人の課題を想像しながら作るものだった。
後者は、自分が毎日のように困り、考え、試していることから生まれている。
すぐに大きな収益になる保証はない。
それでも、広がってほしいと思える。
誰かに使ってもらうことに、後ろめたさがない。
仕事を長く続けるうえでは、この感覚が想像以上に重要なのだと思う。
プロジェクトを選ぶ基準が変わった
これからは、稼げそうかどうかだけで決めない。
収益になるまでが早いか。
成果が出る確率は高いか。
生活や幸福度が上がるか。
価値観と矛盾しないか。
人間関係で消耗しすぎないか。
作ったものが資産として積み上がるか。
この六つを見ていきたい。
特に、「自分はその領域が広がることを望んでいるか」は、今後の大切な基準になった。
損切りは、過去を否定することではない
使った時間は戻らない。
けれど、続ければさらに多くの時間を使っていた。
顧客がつき、売上が立ち、関係者が増えてからでは、価値観のズレに気づいても止めにくくなる。
そう考えれば、今止められたことは失敗ではない。
遠回りはした。
でも、その道が自分には合わないと確認できた。
これからは、稼げそうなものではなく、自分が広げたいと思えるものに力を使いたい。
収益だけでなく、その仕事を続ける自分がどうなるのか。
そこまで含めて、仕事を選んでいこうと思う。