古いWordPressを修理するのではなく作り直す。長年運営したサイトを再構築する決断

AIとWeb制作

長く運営してきたWebサイトをリニューアルするとき、最初に迷うのは「どこから手をつけるか」だと思う。

デザインを変える。
新しいテーマを導入する。
古い記事を整理する。
検索機能を追加する。

やりたいことを挙げ始めると、作業はいくらでも出てくる。

今回、私が再構築しようとしているのは、飲食店の情報を掲載してきたWordPressサイトだ。

これまでも何度か手を入れてきたが、今回は画面の見た目を少し変えるだけではなく、サイトの内部構造から作り直そうと考えている。

その最初の作業として選んだのは、新しいデザインを作ることではなかった。

まず、何も入っていない安全なステージング環境を作る。

そこから再構築を始めることにした。

古いサイトをそのまま複製しない

一般的なWordPressのリニューアルでは、現在公開しているサイトをステージング環境へ複製し、そこでテーマやプラグインを変更する方法がよく使われる。

記事や画像、設定を引き継いだ状態で始められるため、作業量だけを考えれば効率がよい。

私も最初は、その方法で進めることを考えていた。

しかし、長く運営してきたWordPressには、現在使っていない設定やプラグイン、過去に作られたデータが多く残っている。

以前にはセキュリティ上の問題もあったため、データベースやファイルのすべてが本当に安全な状態なのか、完全には判断できない。

その環境をそのまま複製してしまえば、記事や画像だけでなく、過去の不要なデータや問題まで新しいサイトへ持ち込む可能性がある。

表面だけ新しくなっても、内部に不安を残したままでは、本当の意味で再構築したことにはならない。

そこで今回は、古いWordPressを土台に修理するのではなく、新しいWordPressをゼロから作ることにした。

過去を捨てるのではなく、必要なものを選ぶ

新しい環境を作ると決めると、これまで積み上げてきたものをすべて捨てるようにも感じる。

しかし、実際にはそうではない。

長年作ってきた記事や店舗情報、画像、検索エンジンから評価されているページには、今も価値がある。

必要なのは、過去のサイトを丸ごと持っていくことではなく、残すものを一つずつ選ぶことだ。

記事本文は残す。
必要な画像は安全を確認して移す。
価値のあるURLはできるだけ維持する。
使っていないプラグインや設定は持ち込まない。
用途が分からないデータは新しい環境へ入れない。

古い家から新しい家へ引っ越すときに、すべての荷物をそのまま運ぶのではなく、箱を開けながら必要なものだけを選ぶような作業になる。

その分、移行には時間がかかる。

それでも、一度ここで整理しておけば、新しいサイトの運営は以前より軽くなるはずだ。

ステージング環境は、失敗できる場所

ステージング環境は、本番サイトへ変更を反映する前に、機能やデザインを試すための場所である。

しかし、今回作るステージングには、それ以上の意味がある。

過去のサイトの制約から離れて、これから必要な機能を考えるための場所だ。

ステージング用のURLを用意する。
本番とは別のデータベースを作る。
WordPressを新規インストールする。
検索エンジンに登録されないよう設定する。
認証をかけ、制作途中のサイトを外部から見られないようにする。
通信を暗号化し、何も問題がない初期状態でバックアップを取る。

一つひとつの作業は地味だ。

この段階では店舗ページも増えないし、サイトの見た目もほとんど変わらない。

作業を進めても、完成に近づいている感覚を持ちにくい。

それでも、この環境が完成すれば、本番サイトを壊す心配をせずに、新しいテーマや機能を試せる。

間違えても戻れる。
実際に触ってから採用するか判断できる。
思ったように動かなければ、別の構成へ変更できる。

ステージング環境は、完成品を置く場所ではない。

安心して失敗しながら、正しい構造を探すための場所なのだと思う。

新しいテーマを入れる前に、戻れる地点を作る

今回の再構築では、店舗情報や口コミ、検索、比較といった機能に向いたWordPressテーマを導入する予定だ。

機能が充実したテーマを使えば、これまで実現できなかったサイト構造を作れる可能性がある。

一方で、機能が多いテーマほど設定項目も多い。

専用プラグイン、カスタム投稿、評価機能、検索条件、デモデータなど、実際に導入しなければ分からない部分も多い。

そこで、テーマを入れる前の、何も追加していないWordPressをバックアップしておく。

問題が発生したときに、

いつからおかしくなったのか分からない

という状態を避けるためだ。

導入前の状態へすぐ戻れるなら、新しい設定を試すことへの心理的な負担も減る。

バックアップは、問題が起きた後に慌てて作るものではない。

まだ何も起きていない段階で、「ここまでは安全だった」と確認できる地点を残しておくものなのだと思う。

準備に見えても、再構築はすでに始まっている

ステージング環境を作っていると、「まだ本当の制作には入っていない」と感じることがある。

店舗ページはまだない。
検索機能も完成していない。
デザインも変わっていない。
読者が見て分かる変化は何もない。

目に見える成果が少ないため、準備作業ばかりしているように感じてしまう。

けれど、今回行っているのは単なる準備ではない。

古い環境をそのまま引き継がないと決めた。
新しいデータベースから始めると決めた。
移行するものを選別すると決めた。
安全に試行錯誤できる場所を作ると決めた。

これらはすべて、その後のサイト運営を左右する設計判断である。

Webサイトの未来は、完成したデザインだけで決まるものではない。

どの環境から始めたのか。
何を残し、何を持ち込まなかったのか。
失敗したときに戻れる仕組みがあるのか。

そうした画面には見えない部分が、長く運営できるサイトになるかどうかを支えている。

今はまだ、新しいサイトの姿はほとんど見えていない。

それでも、古いWordPressを修理し続けるのではなく、新しい環境を作ると決めた時点で、再構築はすでに始まっている。

過去のサイトを否定する必要はない。

これまで積み上げてきた価値は残しながら、不要なものや不安なものだけを手放していく。

そのための最初の一歩として、まずは安全なステージング環境を完成させたい。

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