最近、CursorからGrok Botが使えるようになったという案内が届いた。
新しいAIが出ると、とりあえず試したくなる。
ただ、今の私はChatGPTとCursorだけでもかなり複雑な開発をしている。ここへさらにAIを一つ増やすと、便利になるどころか、仕組みを理解する仕事が増える可能性もある。
正直、最初はあまり増やしたくなかった。
それでも、「実際の仕事を一つだけやらせてみよう」と試した。
結果として、Grok Botは万能なAIではなかった。
でも、ある仕事にはかなり向いていることが分かった。
最初は旅行のお客様対応で試した
最初に試したのは、運営している旅行サービスのお客様とのメール履歴だった。
十数通ある過去メールを読ませ、
- 何を希望しているのか
- どこまで決まっているのか
- 未確定事項は何か
を整理してもらった。
これはかなり正確だった。
「あれ、結構使えるかもしれない」と思った。
ところが、その後の「次に何をするべきか」という判断になると少し怪しくなった。
すでにこちらから必要な返信を終え、お客様の判断を待っている案件なのに、追加の返信を提案してきた。
間違いというほどではない。
でも私としては、そこでさらに連絡する必要はないと感じた。
メールをもう一度自分で読み返すと、その違いはすぐ分かった。
この仕事では、メールを読むこと自体が私の仕事なのだと思う。
文章に書かれている条件だけでなく、相手がどこで迷っているのか、どの程度検討が進んでいるのか。そういうものを自分の中に入れてからChatGPTに返信文を作ってもらう。
ここをBotに渡してしまうと、むしろ大事な部分まで手放してしまう気がした。
以前、AIへ作業を任せても判断までは手放さない、と書いたことがある。
今回も似た話だった。
そこで、旅行のお客様対応へのGrok Bot導入はいったんやめた。
次は、リニューアル中の「カレー☆ハンター」で試した
次に思いついたのが、現在リニューアルを進めている「カレー☆ハンター」の店舗情報調査だった。
カレー☆ハンターでは、飲食店の情報を整理して店舗ページを作るために、
公式サイトはあるか。
今も営業しているか。
移転していないか。
同名の別店舗ではないか。
といった情報をWebから調べている。
なお、この記事を書いている時点ではサイトはまだリニューアル途中で、現在公開されているカレー☆ハンターは、ここで説明している新しい店舗データベースとはかなり違う状態になっている。
この作業ではこれまで、私自身がAI同士の運び屋になっていた。
Cursorがデータを作る。
私がコピーしてChatGPTへ渡す。
ChatGPTが調査する。
結果を私がコピーしてCursorへ戻す。
何十店舗も続くと、かなり面倒だった。
この「運搬」に、私が介在する意味はほとんどない。
そこでGrok Botに店舗を5件だけ調べてもらった。
調査員として使うと、かなり良かった
結果は予想以上だった。
公式サイトを探し、別店舗を切り分け、移転の可能性や情報の矛盾も記録していた。
さらに、判断できない店を無理に「営業中」としなかった。
5店舗中4店舗は公開原稿を作れる状態、1店舗は確認保留となった。
しかも既存ファイルには触らず、調査結果だけを新しいファイルとして保存できた。
ここで初めて、
「Grok Botは文章を書かせるより、調査員として使うといいかもしれない」
と思った。
AIを使うようになってから、全部を一つのAIにやらせる必要はないと感じることが増えた。
今回も、AIごとの役割を分けた方が自然だった。
ただし、今度は慎重すぎる問題が出た
次に10店舗を調べてもらった。
すると結果は、
公開可能3店舗。
確認保留7店舗。
さすがに保留が多い。
理由を見ると、「公式サイトがない」「公式SNSの本文を取得できない」という理由をかなり重く見ていた。
でも実際には、2026年の来店記録が複数あったり、予約サイトで現在予約を受け付けていたりする店も含まれていた。
「あれ、これは慎重すぎるな」と思った。
そこでルールを変えた。
公式情報があるかどうかではなく、現在営業していると合理的に判断できる材料が複数あるかを見る。
再調査はせず、同じ資料だけで判定し直してもらった。
結果は、公開可能9店舗、保留1店舗。
今度は自分で見た感覚とも一致した。
最初からうまくいったわけではない。
Botへ仕事を渡し、その結果を見て、判断基準を直す。
かなり泥臭い。
でも、この調整をして初めて「使える道具」になってきた。
最終的に4者の役割が分かれてきた
今のところ、役割はこうなっている。
Cursorは、データを作り、機械的な検証をする。
Grok Botは、Webを調査し、証拠を集める。
ChatGPTは、その材料を読んで人が読みやすい店舗紹介文を書く。
私は、保留案件や例外を見て、最後の判断をする。
以前は自分で全部やっていた仕事を、AIへ分担するようになった。
ただ今回面白かったのは、AIが一人増えたことで人間が不要になったのではなく、むしろ誰に何をやらせるかを決める仕事がはっきりしたことだった。
新しいAIを入れることより、役割を決める方が難しかった
最初は「Grok Botが使えるようになった」ということ自体に興味があった。
でも実際に試してみると、どのAIが一番賢いかという話ではなかった。
旅行のお客様対応では、私はGrok Botを使わない方がいいと判断した。
一方、カレー☆ハンターの店舗調査では、人間がやっていた単純な受け渡しを減らしながら、かなり細かくWebを調べてくれる。
同じBotでも、仕事が変わると評価がまったく違う。
そしてGrok Botに調査をさせても、最終文章までGrok Botに書かせる必要はなかった。
調査結果をChatGPTへ渡すと、私が読みやすいと感じる文章に整えてくれる。
AIを増やすほど便利になるのではなく、適切な場所に置けたAIだけが便利になるのだと思う。
Grok Botを使い始めたばかりなので、この形が最終形なのかはまだ分からない。
店舗数を増やせば、また別の問題が出るかもしれない。
それでも現時点では、「新しいAIが増えたから全部置き換える」のではなく、得意な場所へ一つずつ配置していく方が自分には合っている。
Grok Botは今のところ、私にとって文章を書くAIではない。
黙々とWebを調べて、材料を机の上へ並べてくれる調査員。
そのくらいの距離感が、ちょうどよさそうだ。


