月曜日は、引っ越しのアルバイトだった。
その日の作業は、負荷が低めだった。身体のほうは、あまり削られなかった。荷物の重さで翌日まで腕が残る日ではなかった。
それなのに、疲れ方がおかしかった。
経験のわりに、動きが噛み合わなかった

一緒に働いたスタッフが、いまいちだった。
週に4日、1年ほど働いている人だった。それくらいの長さなら、動きは経験に見合っていると思っていた。実際は、見合っていなかった。
一緒に動いているあいだ、次の動作が読みにくかった。経験の長さから想像していた間と、実際の動きがずれていた。
「1年もやっているのに」という感想が、作業の途中で何度か浮かんだ。気になったまま、現場が終わった。なんだか、変な疲れ方だった。
足が重い、腕が張る、という場所には集まらない疲れだった。
寝たかったのに、変なストレスで眠れなかった

帰宅したあと、気力が湧かなかった。
まず寝たかった。横になって、その日を閉じたかった。
布団に入っても、眠れなかった。変なストレスが残っていた。身体は休む姿勢なのに、気持ちのほうだけが現場に残っている感じがした。
結局、アニメを観て、徹夜になってしまった。
開発は、できなかった。
パソコンの前に座る気力が、夜のどこにも無かった。眠ることさえできなかったので、作業へ戻る入口が、その手前で消えていた。
以前、負荷の小さい引っ越しの日に、開発へ戻ろうとして戻れなかったことがある。あの日は疲労そのものが軽く、直したいことが頭に残っていた。仮眠してからやろうと横になり、そのまま朝まで寝てしまった。
あの日は、眠れた。開発には届かなかったけれど、身体は休むほうを選んでいた。
今回は、休みたかったのに眠れなかった。アニメは、眠れない夜の埋まり方だった。開発ができなかったのも、眠気に負けたからではなさそうだった。
身体の疲れでは、説明がつかなかった

引っ越しのあとに、自分の作業まで届かない日は、前にもある。階段や荷物で身体を使い切って、帰宅して少し触ったあと寝てしまう。勤務が終わった時刻から、自由時間が始まるわけではない。
今回、その説明は使えなかった。
肉体的な負荷は、小さかった。それなのに、変な疲れ方が残った。帰ってから気力が無く、寝たかったのに眠れず、徹夜になって、自分の作業にも触れなかった。
身体が楽な日は、夜に自分の時間へ戻れる。負荷が低い日は、高い日よりは戻れる。月曜日に入る前は、その見方が強かった。
その見方は、この日には合わなかった。
人の負荷なのか、数ヶ月の反動なのか

一日置いて、月曜日の夜を思い返しても、理由は一つに決まらない。浮かんでいるのは、二つだ。
一つは、肉体的な負荷は小さいのに、変な精神的な負荷があったのかもしれない、という見立てだ。一緒に働いた人の動きが、経験の長さと噛み合っていなかった。それに合わせ続けることが、荷物の重さとは別のところで神経を使っていた。帰宅して一人になっても、その感覚が切れなかった。だから寝たかったのに、変なストレスのまま朝を越してしまった。
もう一つは、ここ数ヶ月、開発を頑張ってきた反動が、月曜日に来ていたのかもしれない、という見立てだ。スタッフの動きはきっかけのように見えて、本当は関係が薄い。溜まっていたものがその夜に出て、眠れなさとアニメの徹夜になった。人のことが気になったのは、疲れているときに目についてしまった部分なのかもしれない。
数日前の休日にも、近いことを書いている。引越しの疲れが残っている感じはしないのに、やる気が起きず、アニメを見て過ごした。あのときは、季節の変わり目かもしれない、とも思っていた。ここ数ヶ月の頑張りが、気力のほうへ出ているのかもしれない、とも思っていた。どちらとも、決められなかった。
休日のときは、眠れた。昼から長く寝て、起きているあいだはアニメだった。やりたい、が先に薄かった。
月曜日は、順番が違った。仕事はした。負荷は低かった。人のことが残った。寝たかったのに眠れなかった。アニメは、やる気がないから選んだというより、眠れない夜のほうへ流れていった。開発もできなかった。
反動という見立ては、休日の時点で既に疑っていた。月曜日の夜が、その続きなのか。それとも、一緒に働いた人から来た、別の疲れなのか。この文章を書いている時点でも、そこは分かっていない。
現場でずれを感じたことと、そのずれで夜まで説明できることは、まだ別だ。数ヶ月分の開発で説明できるのかも、同じように分からない。
両方とも、ありそうに見える。一つの結論にはできていない。次に何を試すかも、まだ決めていない。
月曜日の身体は、比較的楽だった。楽だったのに、変な疲れ方をした。寝たかったのに眠れず、アニメを観て朝になった。開発は、その夜には届かなかった。
理由の名前は、まだ仮のままにしておく。


