お盆なので、実家へ帰ることにした。
ただ、今回は出発する前から少し迷っていた。
最初はバイクで帰るつもりだった。普段とは違う道を走りながら実家へ向かうのも楽しそうだし、ちょっとしたツーリングにもなる。
一方で、天気が安定しなかった。
朝から空は曇っていて、少し雨もちらついている。前日の肉体労働による筋肉痛も残っていた。
「今日は帰省そのものをやめようかな」
という考えも一度は浮かんだ。
でも、実家へ帰る機会はそれほど多くない。
天気が完璧になるまで待っていたら、また次の機会になってしまうかもしれない。そこで、帰省すること自体は変えず、バイクをやめて電車で行くことにした。
振り返ると、この日の一番大きな気づきは、ここにあったように思う。
目的まで変える必要はない。
条件が変わったなら、目的へ向かう方法だけを変えればいい。
バイクで行くか、電車で行くか
バイクには自由がある。
出発時刻を細かく気にしなくていいし、駅まで移動して電車を待つ必要もない。荷物を持って乗り換えることもない。
何より、自分で走っていく楽しさがある。
だから最初はバイクで帰りたかった。
ただ、雨の可能性がある日に長い距離を走るとなると話が変わる。
出発時には降っていなくても、途中で雨に遭うかもしれない。帰りが夜になれば、さらに状況は読みにくくなる。
そこで今回は、
「バイクで帰省したい」より、「実家へ帰る」を優先した。
バイクを諦めたというより、目的と手段を切り離したと言った方が近い。
電車なら天候の影響をかなり減らせる。
帰省を取りやめるか、雨のリスクを抱えてバイクで行くか、という二択にする必要はなかった。
その中間に「電車で行く」という選択肢があった。
最終バスを調べたら、今度は時間に縛られた
電車で行くことを決めたあと、別の問題が出てきた。
帰宅が夜になるので、自宅方面へ向かう最終バスの時刻を調べた。
すると、思っていたより早かった。
その時刻を知った瞬間から、
「何時に実家を出ればいいだろう」
「この電車に乗らないと間に合わないな」
「もう少しゆっくりしていたくても、早めに切り上げる必要がある」
と考え始めた。
まだ実家へ着いてもいないのに、すでに帰る時間を気にしている。
せっかく久しぶりに帰省するのに、最後の時間を時計ばかり見ながら過ごすのも違う気がした。
最終バスを逃した場合は、駅からタクシーで帰ることもできる。
料金を調べてみると、払えない金額ではなかった。
ただ、できれば使いたくない。
そこで考えたのが、自転車だった。
自転車で駅へ行けば、最終バスを気にしなくていい
普段から駅へ行くときは自転車を使うことが多い。
それなら、今回も駅まで自転車で行けばいい。
そうすれば、帰宅時に最終バスを気にする必要がなくなる。
実家を出る時間が少し遅くなってもいい。
乗る電車が一本ずれてもいい。
駅へ戻ってきたら、自転車に乗って帰ればいい。
この時点で、帰りも自転車で帰ることはほぼ決まっていた。
雨が降っていたとしても、基本的にはそのまま自転車で帰るつもりだった。
駅に自転車を置いたままタクシーで帰ってしまえば、後日もう一度駅まで取りに行かなければならない。駐輪場を使い続ければ、その分の料金もかかる。
そう考えると、タクシーは単に「その日の帰宅料金」だけの問題ではない。
翌日の移動と、自転車を回収する手間まで発生する。
多少の雨であれば、そのまま自転車で帰った方が自分にとっては合理的だった。
一つの判断だけで、一日を縛らない
今回面白かったのは、一日の中で何度も判断が変わったことだ。
最初は、
バイクで実家へ帰る予定だった。
そこから、
天候を見て電車へ変更した。
さらに、
電車で帰るなら最終バスを使おうと考えた。
でも最終バスの時間を知って、
駅までは自転車で行くことにした。
こうして並べると、予定が何度も変わっていて、行き当たりばったりにも見える。
でも自分の中では、むしろ逆だった。
ずっと変わらなかったものが一つある。
「今日は実家へ帰る」
という目的だ。
変わったのは、その目的を実現する方法だけだった。
「予定を守る」より「目的を守る」
昔は、予定どおりに進まないと、それだけで失敗したような感覚になることがあった。
バイクで行くと決めたならバイクで行く。
この時間に帰ると決めたなら、その時間を守る。
でも、予定というのは本来、目的を達成するために作るものだ。
予定を守るために目的の方を諦めてしまったら、少し順番がおかしい。
今回なら、
雨だから帰省をやめるのではなく、電車に変える。
最終バスが早いから実家を早く出るのではなく、自転車を使う。
そうやって手段を変えていけば、目的はそのまま残せる。
選択肢を持っていると、予定はむしろ強くなる
計画というと、未来を細かく決めておくことだと思いがちだ。
でも最近は、少し違う気がしている。
何時に何をするかをすべて固定するより、
「条件がこうならA、変わったらB」
と選択肢を持っていた方が、現実の変化には強い。
天気は自分では変えられない。
交通状況も変えられない。
体調だって毎日同じではない。
だからこそ、最初に決めた方法へ固執しない。
目的だけを見失わず、その時点で一番現実的な方法へ乗り換える。
この日は結局、当初予定していたバイクではなく電車で実家へ帰った。
駅までは自転車を使ったことで、帰りの最終バスを気にする必要もなくなった。
予定はかなり変わった。
それでも、やりたかったことはきちんとできた。
予定どおりに動けたかではなく、大切にしたかったことを守れたか。
その方が、一日を振り返ったときの満足感は大きいのかもしれない。
そんなことを感じた、お盆の帰省だった。